〜 Would you know my name 〜

    ちょっと前に描いたデッサンの手直しをしている時に
    こんなフレーズが頭の中に飛び込んできた
    聴いていたCDは エリック・クランプトンの「tears in heaven」

       『なんだか妙に 似合うよね・・・』

  描きかけのデッサンに手を加えながら、彼女のことを考えていた

  月に2回行われるデッサン会に モデルとして彼女は来ていた
  いろいろなモデルさんがローテーションを組んでモデルクラブから
  派遣されてくる
  きわどいポーズが得意な人  喋らなければ色っぽいのになぁと思う人
  指の先まで美しいポーズのとれる人
  さまざまな様子の彼女達を描くのが 私の楽しみでもあった

    どちらかと言うと細身で、男性のメンバーからは『細すぎる』と
    少々不満気味の声も聞かれることもあったが かなりきついポーズも
    無理なくとってくれるのと どこかエネルギッシュな感じと
    はりつめたギリギリ感があるような気がして 私はかなり気に入っていた

  そんな彼女が『しばらく来ないなぁ』と思っていたら
  久しぶりに来てくれた
  ひどく痩せて ちょっと疲れた感じ  腕には点滴か注射の跡だろうか?
  病み上がり・・・と言う感じで妙に痛々しかったのを覚えている
  『またいっそうスレンダーになっちゃったね』そう話しかけた私に
  ちょっと微笑みかけながら『ちゃんとポーズはとれますから』と
  少し挑むように彼女が答えた
  『体調不良でした』といった答えが返ってくるつもりでいた私は
  少々面食らいながら『無理なポーズとらなくていいよ』と返したが
  彼女のとってくれたポーズは かなりドラマチックだった
  『プロ意識が強いのかなぁ』なんて思いながら 『体大丈夫かい?』
  という思いと 『なんか さらにギリギリでいいなぁ』とも思いながら
  筆は進んでいく

    細すぎるその手足を鉛筆でたどりながら 彼女は何を
    削ぎ落としてきたのだろう
    削ぎ落とした先になにがあるのだろう・・・
    彼女の細さと 私の中の削ぎ落としたい諸々の思いが
    紙の上で交差していった

  彼女はモデルをしながら ジャズを歌っているといっていた
  多分そちらが本業なのだろう
  今 デッサン会はメンバーの都合と予算の都合で休会中だ
  もう少しメンバーを集めてから再開しようという話なので
  期待しながら待っている
  その時 彼女はなにを見せてくれるのだろうか・・・

                 2005年2月24日  pm 10:00
                      デッサン会の再開を切望して・・・